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平成12年4月号

(今月の記事)
 ・開館5年目を迎えた今年、大きな寄贈が相次ぎました。...
 ・「伊万里の文学」展記念講演 近くて遠~い文学のこと
 ・図書館の夢の翼にのせて ~全国図書館大会報告
 ・紙芝居の世界 ~紙芝居実演講座
 ・[黒澤塾 Vol.5 黒澤明と「生きる」]
 ・あべ弘士さん講演会
 ・石垣りんさん講演会

★1面

 開館5年目を迎えた今年、大きな寄贈が相次ぎました。
 1つ目は前代議士山下徳夫さんから氏の蔵書5000冊の寄贈です。
 山下さんは昭和22年から50有余年にわたって終始一貫、 政治を通じて日本の発展と国民生活の向上に心血を注いでこられました。 資料もその活躍を物語る国政や文化資料などが数多くあります。
 2つ目は二里町出身で、日本のシュールレアリスムを代表する画家、 池田龍雄さんからです。
 今度寄贈していただいた本は、ご自分で挿絵を描かれた本や画集など250冊です。 すでに絶版になった本もあり貴重な資料です。
 3つ目は伊万里ロータリークラブから、 絵本の原画『樹齢百年』(川端誠作)をいただきました。
 世界にただ一つしかない絵で伊万里市民図書館の宝物になりました。 今年は子ども読書年でもあります。 子どもたちが本物の絵とふれあい、やさしさやぬくもりを感じてくれればと願っています。
 この他にも物心両面からたくさんの方々にご協力いただいております。
 伊万里を愛する人、大切にする人に支えられて図書館は日々育っていきます。 みな様のご厚情に心からお礼を申し上げますとともに 「さらなる協働」を目指して歩を進めるつもりです。

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★2面(1)
「伊万里の文学」展記念講演 近くて遠~い文学のこと

 市民図書館では10月20日から11月3日まで、 伊万里に関係の深い文学者とその作品を一堂に集め、 「伊万里の文学」展を開きましたが、これを記念して、 佐賀市の文学研究家池田賢士郎さんをお招きして講演会を催しました。

 池田さんは詩人ですが、長年県内の文学活動の調査研究に力を尽くされ、 その成果は「佐賀の文学」(新郷土刊行協会)などの執筆に実っています。 また最近では、「校中四書.葉隠索引」(葦書房)という労作を刊行されました。 かたわら、自分史の講座や講演を行うなど、幅広い活躍をしておられます。
 お話は伊万里における文学活動を小説、詩、俳句、短歌の順に、 幕末の時代にまで遡って触れてゆかれましたが、地元の人達の知らないことが多く、 池田さんの豊かな学識に聴衆のみなさんも興味深く耳をかたむけていました。

 講演の趣旨は、「近くて遠~い文学のこと」という言葉の中にあります。
「これまでの地方で開かれる文学展は、 今はもう遠い存在になってしまった著名な出身文学者を紹介するのがほとんどだ。 地元で暮らし、その土地と絶ちがたい関わりを持った文学者の活動を取り上げた 手作りの文学展を高く評価したい。これを、まだ眠っている資料の 発掘の足掛かりにして欲しい」というものでした。 地区別、ジャンル別に分けて、息の長い調査をというアドバイスもいただきました。

 図書館でもこれを機に市民と協働で伊万里の文学の発見に努力したいと思います。 各地域のみなさんのご協力をお願いいたします。

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★2面(2)
図書館の夢の翼にのせて ~全国図書館大会報告

 第86回全国図書館大会が、沖縄県で開催されました。
今回のテーマは『万国津梁の邦沖縄から 世紀へ飛翔~図書館の夢を翼にのせて』です。 全国から約2000人もの図書館関係者が集まり、 3日間にわたって研究討議がされました。
 伊万里市民図書館からも参加しましたので、大会の様子を報告します。

   独自の文化を形成している沖縄は、戦争被害を受けた後、文化の回復を遂げています。 そこには、図書館の存在というものを忘れてはならないと思います。
 分科会は14ものテーマに分かれ、市内12カ所に分散して行われました。 公共図書館の方向性や、デジタル情報化に伴う、サービスの拡大など、 図書館界が抱えている諸問題が取り上げられました。
 また、全国大会に合わせて 『図書館ボランティアを考える会~ボランティアの夕べin沖縄~』が開催されました。 図書館ボランティアとして活躍されている全国のみなさんと、 交流を深めることができました。
 この会合で《伊万里おはなしキャラバン》が、 パネルシアター「はなたれこぞうさま」や歌パネルなどを披露されました。 その後、ボランティア活動に伴う著作権についての講演会がありました。 著作権法なんて難しくて分からない、そう思わずに、 もっと理解して活動していこうと話されました。
 実りの多い3日間でしたが、大きな宿題を与えられた大会でした。 もっとよりよい図書館になるために、図書館員としてなすべきことは山ほどあるのだと痛感しました。

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★3面(1)
紙芝居の世界 ~紙芝居実演講座

 「紙芝居の世界」というテーマで、紙芝居の歴史や演じ方を話してもらいました。
 紙芝居は日本独特の文化で、発祥は70年ほど前だったこと。 1991年からまついのりこさん(絵本作家でもあり紙芝居作家)を中心としたグループが、 日本の紙芝居をベトナムで普及・支援活動を始められ、大きな成果があがっていること。 最近ではヨーロッパ特にオランダで日本の紙芝居が注目されていることなど、 紙芝居を取りまく世界の再発見でした。 今、私たち日本人が紙芝居を見直す時期にきているような気がします。
 絵本と紙芝居の違いは、絵本の読み聞かせは一対一でもできるけれど、 紙芝居は集団でやるのが楽しく、演じ手と作品と観客が三位一体で共感するものだと話されました。 それに、紙芝居は「読む」ではなくて「演じる」こと、 また「参加型」と「完結型」があり、それぞれ演じ方が違うことなども新鮮な驚きでした。
 私にとってうれしかったのは、演じることを難しく考えなくても 自分なりにできる方法で実践したらいいという千竃さんの一言でした。 紙芝居というと心がわくわくした子どもの頃を思い浮かべます。 テレビづけになっている現代っ子でも紙芝居に楽しいものを期待する気持ちは かわらないように思います。 夢のある紙芝居の世界へ子どもの心を引き込めるようになれたらと思いました。
 「鬼ヶ島文庫」や「紙芝居道場」を主宰されている千竃さん、 講演の演題も自筆で、その流れるような字に感動させられました。 生き生きされたお顔のエクボがとても印象的でした。片手みのり記

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★3面(2)
[黒澤塾 Vol.5 黒澤明と「生きる」]

 「七人の侍」が動の名作なら、「生きる」は静の名作。
 今年の伊万里黒澤映画祭でも上映され、感動も新たにというところだろうか。 あの頃の邦画は本当に素晴らしく、輝いていた。
 話は至極簡単で、志村喬演じる退職を間近にひかえた某市役所の市民課長が、 自分の余命が幾許もないことを知り、それからの人生を生き直すというもの。
 前半は主人公が死ぬまで。 後半は通夜の席で同僚達が、ある日を境に主人公がなぜ生まれ変わったように生きたかを ディスカッションするという、一本の映画としては破天荒な構成となっている。
 「羅生門」での四人四様の言い分による映像。 原作に忠実な映画化のため、当初4時間半の超大作となった「白痴」。 この「生きる」では、前後半真っ二つの構成と、黒澤の芸術的野心もさることながら、 こんな実験的な作品を商業ベースで撮らせていた当時の邦画界は、奇蹟のように思える。
 さて「生きる」だが、道徳的メッセージとしてはピカ一だが、 私としては一抹の不安を感じる。
 人は大義に生きる時のみ安心立命できるというテーゼは、本当に正しいのか? という疑問が拭えないのである。 というのも、この主人公が「私は本当に生きた」と感じて死ぬためのスプリングボードとして、 家族(特に男やもめを通して育てた息子)との断絶が描かれているからである。
 黒澤映画のもたらす感動には、いつも何かの犠牲が伴っている。 私としては、この人生に犠牲を伴わない大義はないものか、と考えるのである。

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★4面(1)
あべ弘士さん講演会

北海道で動物園の飼育係をされていたあべさんは、今、日本中で大人気の絵本作家です。
今春、市内の小学3~6年生に配布した「子どもの本のリスト」を思い出して下さい。 表紙、中の絵は全て伊万里の子どもへと、あべさんが特別に描かれたものです。

 ☆講演会☆
 日時 12月15日(金) 午後6時~
 場所 市民図書館ホール

楽しい動物の話や絵の話。 ほのぼのとしたあべさんのおもしろ話にお腹がよじれるかも…。
北海道から伊万里へ多忙の中こられるあべさんです。
みなさん、ぜひ、あべさんに会いに来て下さいね!

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★4面(2)
石垣りんさん講演会

 日時 12月3日(日) 13:00~
 場所 伊万里市民図書館ホール
 演題 「詩を書くことと生きること」
 主催 女性・文化政策室
    生涯学習センター
    伊万里市民図書館

*入場無料です。多数のご来場をお待ちしております。

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